本物の素材に宿る、経年美化の美しさ。(後編)

2022-09-09 公開 2022-09-13 更新

こんにちは!経年美化のコラムの後編です。前編では、無垢材の色の変化や身近にある経年美化が楽しめるアイテムについてご紹介しました。後編では、経年美化していく木材とどんなふうに付き合っていくのかをポイントに見ていきましょう!

後編のポイント!

  • 無垢材が美しく年を重ねるにはお手入れが大事。丁寧に使い込んでいくほど、使う人に馴染んでいく。
  • 無垢材は天然の良質な素材だからこそ、傷を思い出として残すことも、修復してきれいにすることもできる。
  • 経年美化の物は長く使い続けられるからこそ、世代を超えた財産になる。

作り手と使い手でつむぐ、美しさ。

木材も革製品も経年美化を楽しめる物に共通しているのは、使う人のお手入れが重要なこと。汚れたらすぐ取り除いたり、定期的なメンテナンスを続けることが、美しく時を重ねるか否かの分かれ道になります。

木材は、森から切り出され製品になって私たちのもとに届くまで、多くの作り手の手を通って来ます。選定、伐採、乾燥、加工。どの工程も生きた木を相手にした繊細で大胆な作業です。そして木は、切った後もずっと生きていると言われています。呼吸をしているんです。

手元に、足元に、無垢材を迎え入れたら、ここからは使い手の出番です。お肌をお手入れするように、優しくいたわってあげてください。たとえば、定期的に行うフローリングの再塗装のオイルは、木の栄養分でもあるんですよ。手をかけることで木は長持ちし、使う人に馴染みながら、独自の美しさを醸し出していきます。

※再塗装かワックスがけかは初回メンテナンスに選択した方に準じてください。詳しいお手入れやメンテナンスはこちらをご確認ください。(別ウインドウで開きます)

その変化は、あなただけの物語。

無垢材を使ったフローリングや家具などは、生涯無傷のままというのは難しいでしょう。でも、傷や凹みといった変化もあなたとの歴史のひとつ。ともに生きてきたという唯一無二の証になります。

こちらの和室につながる「式台」では、人がよく通るところだけ色が薄くなっています。家族とすごした時間の記録ですね。

とはいえ、残しておきたい傷ばかりでもないですよね。大丈夫、天然の無垢材ならちょっとした汚れや傷は修復が可能です。サンドペーパーで軽く削って取り除くことができます(その後、必要に合わせて塗装をしてくださいね)。子どもがつけた傷は思い出として残して、大人がうっかりつけた傷はささっと直してしまうのも手かもしれません。笑

傷も味になるのは、素材の強さあってこそ。

修復できるというのは、それだけ素材に持続性・耐久性があるということ。そもそも簡単に壊れてしまう物では長く使うことも、修理することもできません。無垢材は選び抜かれた天然の素材だからこそ、周りの環境や住む人の影響を受けながらも生き続けていきます。時には世代を超えて愛すべき財産になっていきます。

そして実は、無垢材にはもうひとつ魔法があります。それは、生まれ変われること。

無垢材の床は全体を薄く削り再塗装することで、新品のように蘇らせることができます。削るといっても1mmにも満たない薄さ。慣れ親しんだ木目はそのままに、真新しい木肌が顔を出します。そこに塗装で色を加えれば、雰囲気をがらりと変えたリノベーションも可能です。床板を丸ごと張り替えるよりもお財布に優しく、ゴミも増やさず地球にも優しい。SDGsな住まい方です。

※画像の道具はローラータイプの粘着シートではなく塗装ローラーです。

心地よく安心して使えるから愛着がわく。人生の相棒のような存在になる。

新品の輝き、使い込む喜び、新たな命を吹き込んでなお使い続ける愛情。 長い時間をかけながら、いろんな表情で楽しませてくれるのが、無垢材の経年美化かもしれませんね。

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