いつもの木が、気になる木になる!
似ている「木」くらべ

2025-07-08 公開

こんにちは。プレイリーホームズです。
突然ですがここで皆さんにクイズを出題!こちらにある2種類の木。 片方は杉(スギ)で、片方は桧(ヒノキ)なのですが…どちらがどちらかわかりますか?

正解は、左が杉で右が桧。

花粉の時期になると、よくテレビニュースに登場する杉と桧ですが、いざどっちがどっちと聞かれると「よくわからないなぁ」という方も多いのではないでしょうか?
どちらの木も、日本の伝統的な木材である針葉樹。古くからさまざまな建材として使用されてきました。現在でもその使用用途は幅広く、期間限定開幕の大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の約7割を構成しているのも、国産の杉と桧でもあるんですよ。

こんな風に、なんとなく知っている木をちょっと詳しく知るだけで、より身近なものに感じるようになりますよね。今回のコラムでは、私たちにとって身近な木から、海を渡った遠い国に生えた木まで。さまざまな木材をピックアップしながら、その魅力と特徴をお伝えしていきます!

1. 馴染み深いのに、意外と知らない?「杉と桧」

一見よく似て見える木でも、得意な用途や、機能には違いがあります。まずは私たちにとって一番身近な木でもある「杉」と「桧」の魅力をお伝えしていきます!

杉(スギ)ってどんな木?

こちらは杉の葉。チクチクとした形が特徴的ですね。
葉の先についているぷっくりとした形のものは「花」と呼ばれるもの。2月〜4月にかけて、この花の部分から大量の花粉が飛んでいきます。花粉症の方は、聞くだけでくしゃみが出そうになってしまうかもしれませんね。そんな(困った?)杉ですが、その幹はとても加工がしやすく、さまざまな場所で活躍しています。…例えばこんなお弁当箱。

ご飯が冷えても、ふっくらおいしい「曲げわっぱ」

「曲げわっぱ」と呼ばれるこのお弁当箱には、杉の木が使用されています。杉は加工がしやすく、吸水力が抜群。ほかの食材が汗をかくのを防いでくれたり、ご飯が冷えても、ふっくらおいしく保ってくれるといった嬉しい効果もあるんですよ。

桧(ヒノキ)ってどんな木?

続いては桧について。杉とは違って葉が比較的柔らかく、平べったい形をしています。食事をした時に、お肉やお魚の下に敷く「敷き葉」として使用されているところをご覧になった方もいるのではないでしょうか。桧の葉には抗酸化作用があるため、食品が腐るのを防いでくれる役割もあるんですよ。

天然の抗菌作用で、食べ物を安全に保つ「まな板」

天然の抗菌作用を持つ桧は、まな板としても使用されています。木材の中でも柔らかく、刃物を長持ちさせてくれるという嬉しい効果もあります。
そんな杉と桧が板になったらどんな違いがあるのか…?その違いを比べてみましょう!

杉と桧の板の違い

はっきりとした木目を持った「杉」。自然が作りだす力強い木目の魅力を味わえる樹種です。赤と白の色味の違いがある「源平(げんぺい)」が特徴的ですね。その昔、源氏が白旗を、平氏が赤旗を使用して戦を行った「源平合戦」から、木材業界では赤と白が混在している板材のことを「源平」と言います。呼び名一つをとっても歴史を感じられる木ですね。

〜森林浴をしているかのような爽やかな香り〜

「すっきり」または「爽やか」と表現されることが多い、杉の香り。まるで自然の中を歩いているような「山の気配」を感じることができます。防臭効果があることでも知られていて、柱や梁など、建物の骨格となる重要な部分にも使用されています。

杉と比べると、全体的に濃淡が穏やかな桧。ほのかに淡いピンク色をしているため、やわらかい印象を受けますね。繊細で滑らかな紋様が特徴になっています。

〜清潔感と落ち着きのある香り〜

ほんのりとした温かみを感じる桧の香りは、アロマや香水にもよく登場しています。リラックス効果のある香り成分を含むため、浴槽や浴室の内装材として使用されることも。特に「桧風呂」は日本独自の文化として親しまれていることでも有名です。

ここに注目!見分け方のポイント3つ


① はっきりとした木目
② 赤と白のコントラストがある
③ 「山の気配」を感じる香り


① ほのかなピンク色の木目
② 穏やかな濃淡
③ リラックス効果のある香り

身近に感じる木でも、さまざまな違いがあることを感じていただけたのではないかと思います。続いて比べてみるのは、この2つ!

2. 実は同じ仲間「ブラックウォールナットとクルミ」

クルミと聞くと、木材より実を思い浮かべる方も多いかもしれません。食感もよく、香りも良いクルミは食材としても人気なのですが、実は木材としての人気も高いことをご存知でしたか?
食べる木の実の印象が多いクルミは、英語でwalnut(=ウォールナット)と言います。これはクルミ科クルミ属の樹種の総称で、ウォールナットは世界中に200種類以上も存在している樹種なんです。そんなウォールナットの違いをつくるのは「産地」と「色」。ブラックウォールナットとオニグルミ(クルミ)、その違いを詳しくご紹介していきます!

ブラックウォールナットってどんな木?

深みのある色合いが特徴の「ブラックウォールナット」は、アメリカ地域に広く分布する樹種です。家具を選ぶ際に、目にされたこともあるのではないでしょうか。実は日本の家具・建材業界でウォールナット材と言えば、このアメリカ地域産の「ブラックウォールナット」を指すことが一般的です。「ウォールナット=ブラックウォールナット」と認識されることが多いのは、ブラックウォールナットがあまりにも有名で人気だから…というところもあるのかもしれませんね。

【songdreamオフィシャルショップ】FENICE(フェニーチェ)サイドボード | 収納家具,キャビネット | FUJIKA オンラインストア (画像提供:songdream)

ブラックウォールナットは「世界三大銘木」としても知られる銘木のひとつ。古くから高級家具や楽器、アメリカ大統領の演説台にも使用されるほど、人気の樹種です。衝撃と摩擦に強いため、フローリングにも最適な樹種として知られています。

クルミってどんな木?

プレイリーホームズで扱っているクルミには、日本や中国に広く分布している「オニグルミ」という樹種が使用されています。

ブラックウォールナットと比べると色が淡いことが特徴で、見た時にナチュラルな印象を受けますよね。踏み心地も柔らかいため、ついつい裸足で歩きたくなってしまう…。そんな温かみのある空間を叶えられるのは「クルミ」ならではの魅力なんですよ。

価格でも比べてみた

独特の雰囲気を持ったクルミとブラックウォールナット。特に高級なイメージがあるブラックウォールナットは、お値段も少し気になりますよね。プレイリーホームズで取り扱うフローリングを例に、価格を比べてみました。

2つを並べてみると、色味が違っていることがよく分かるのではないかと思います。「クルミ」は、柔らかなベージュカラーが特徴で、クルミの実のような色をしています。ウォールナット種の中でもお手頃なお値段なので、人気の樹種のひとつになっています。
一方「ブラックウォールナット」は、深みのあるダークブラウンカラー。 「銘木」の名に相応しい複雑で深みのある色味ですね。クルミと比べるとお値段も高くなりますが、落ち着きのある空間を演出できるのは、ブラックウォールナットならではの魅力です。

ここに注目!見分け方のポイント3つ

クルミ
① 柔らかなベージュカラー
② 「日本」と「中国」が主な産地
③ お手頃なお値段

ブラックウォールナット
① 深みのあるダークブラウンカラー
②「アメリカ地域」が主な産地
③ 世界三大銘木のひとつ

3. さいごに

いつもの通学・通勤路にある木を見て「これはなんの木かな…?」とふと考えてみる。そんな風に、普段の暮らしの中にちょっとした発見や疑問を抱いてみるのも、素敵かもしれませんね。今回ご紹介した樹種の比較を通して、みなさまにとって「木」がより身近なものになればとてもうれしいです。


参考:
・有岡 利幸「香りある樹木と日本人―木の香りある日々の暮らし」,生活文化史選書, 2018年9月
・伊東 隆夫, 佐野 雄三, 安部 久, 内海 泰弘, 山口 和穂「カラー版 日本有用樹木誌 第2版」,青海社,2019年7月
・【秋田県】大館曲げわっぱ|とうほく知的財産いいねっと
 https://www.tohoku.meti.go.jp/chizai-enet/support/brand/magewappa.html
・大阪・関西万博公式ブログ
 https://www.expo2025.or.jp/expo-map-index/main-facilities/grandring
・フィトンチッド化学ラボ
 http://www.phyton-air.com/news/news90.html


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