コジカの知らない世界Vol.2 歴史とともに歩んでいく、ドナオーク

2022-06-27 公開

気がつけばとってもお久しぶりになってしまいました…!

インテリアコーディネーター・コジカ(以下 K)です。

始まって間もないのに更新にお時間がかかってしまい、申し訳ありません!

春、ドタバタと走り回っている間に、すっかり季節は夏を迎えてしまいそうになっています…時間の流れはあっという間…と、言い訳はここまでにして!

さて、今回はプレイリーホームズの人気商品・ドナオークについて、オークといえばこの方・小川さん(以下 O)にお話をお伺いしてきました。

終始笑いの絶えない、楽しいお話をお伺いできました!

歴史の流れを感じさせる、とてもいいお話をお伺いしましたので、皆さんも時間の流れを想像しつつ、楽しく読んでいただけると幸いです。

それでは行きましょう!

プレイリーホームズのオークたち

K 今日はドナオークのお話を、ということなんですが、まずは、オークと名前のつくもののカットサンプルと冊子を持ってきました。違いがあるのかなぁと思って色々揃えてみましたが、どうでしょうか?

O どれがナラで、どれがホワイトオークで、どれがドナオークか、、、プレッシャーがかかるクイズですね(笑)

どれがどの商品か、わかりますか?

O 一目瞭然で違うのは、ホワイトオークの特徴って、このトラフが多いことですね。ナラもトラフが出ますが、ホワイトオークに比べると出方がやっぱり違います。

表面に見られる虎斑。銀色に見えるため「シルバーグレイン」とも呼ばれているそうです

O それから、ホワイトオークとドナオークは両方ともヨーロピアンオークですが、違いはドナオークはプレイリーが板から買ってアレンジして商品化していて、ホワイトオークは製品としてできた物を買って仕入れしています。

K プレイリーのオリジナルのホワイトオークが、ドナオークって感じってことですね。

O ナラについてはミズナラですね。元々中国のミズナラ、カバをやりはじめたのが、プレイリーホームズの広葉樹の始まりです。以前プレイリーは北欧がメインで、北欧のホワイトウッド・レッドウッドの羽目板が主力商品でした。それに対して広葉樹は最初クレームも多くて、なかなか大変でした。ただそれも徐々に安定していって、メインの商品と言えるくらいにまで伸びてきましたね。

K それはインタビュー0回目の佐野さんからも、同じようなお話をお伺いしましたね。今はナラが主力になってきていると。

O そうですね。ただ数年前から、中国もpm2.5など環境問題が大きくなってきて、自然林の伐採を規制し始めたことで、そこから世界的にもロシア材に集中し始めると、フローリングに使うような丸太が低質で細くなってきたんですね。以前は太い丸太を使っていたのが、細い丸太になって資源がどんどん少なくなってきた。そういう状況が続き、ナラの先行きの状況が不安になって。その中で、中国・ロシア材の代わりになるものとして探し始めたのが、ドナオークのはじまりです。

新しいオークを求めて辿り着いた森

Oもう一つ、ドナオークのきっかけになったのが、弊社の櫻井前社長が長野に作ったウッドパークですね。そこで広葉樹もやりたいという話がありまして。ウッドパークが出来たのが2015年ごろで、そこから、オークの調査が始まりました。

K オークの調査、と聞くと、すごく大変そうですね。どれくらい調査されたんでしょうか?

O 最初は早川専務と櫻井前社長が、2016年の一年位かけてレンタカーでヨーロッパ中を回りました。色々と巡って、最終的にたどり着いたのが東ヨーロッパです。それから私がドナオークのために初めて東欧へ行ったのは、2017年の6月のことです。最初はルーマニアと、クロアチア、それからセルビア…他にも行ったところはありますが、今板材を買っているのは、この3カ国ですね。

K 具体的に行ってみて、いかがでしたか?

O ルーマニアが思ってたより暑くてすごく日焼けをしたり、食文化の違いだったり、大変なことはたくさんありましたよ(笑)オークの生え方というか、管理の方法なんかも、国によってさまざまでしたね。その中でも印象的だったのは、クロアチアのオークの森ですね。クロアチアでは、平地の中に、真っ直ぐに生えているオークの森があって、きちんと区域で分けて森が管理されています。80〜100年立った区域のものを伐採して、一本だけ残してまた次の80年100年に向けて管理していく、という100年のサイクルを、1769年からずっと続けている。それを確立したのは、当時この辺りを支配していたハプスブルク家で、マリアテレジアの時代だそうです。その時代から、自然に種が落ちて、育って、光が当たるように間引きして、というのを、100年のサイクルでずっとやってきているわけですね。

K 自然に生えてくるんですか?

O そう、自然に生えてくる。それを放っておくと、どんどん生えてきてしまうから、きちんと管理して、まっすぐ、等間隔になるようにしている。そんなに昔から、100年の長い期間をかけないと商品化出来ないものを想像して、確立してやっていくというのはすごいこと。これをブランディングしたいな、というのが夢になっていきましたね。

K なるほど。歴史がすごく長いオーク材なんですね。そういうエピソードを聞くと、お家に取り入れたくなりますね!

O そうですね。品質もすごく良くて、ヨーロッパ最高の品質を誇っているオークです。

クロアチアの真っ直ぐに生えたオークの木

ドナオークの名前の意外な由来

K ドナオーク、という名前は、どうやって決められたんですか?

O そう、名前、名前をどうしようかと考えていて・・・。普通にヨーロピアンオークとかホワイトオークとかではオリジナリティがない、ブランディングしたいな、というので、最初東欧だから、「トーオーク」にしようとしてたんです。

K 実際に以前、トーオークという名前がついた商品があったみたいですね

O そうです、それで一度は始めてたんですが…。これ、あまり知られていない話なんですが(笑)名前を考えていた時に、ルーマニアに1件のレストランがあって。「レストランドナ」、というお店だったんですけど。そこは看板娘がドナさんってお名前で、それでレストランドナだったんですけど。で、それがドナウ川の近くってこともあって、あ、ドナいいじゃん!って(笑) で、「ドナオーク」になりました。

K それはまさかですね(笑)ドナウ川から来ているネーミングだとはチラッとお伺いしていたんですが、まさかのきっかけはレストランの看板娘さん(笑)ドナさんは知っているんでしょうか(笑)

O ドナさんとても綺麗な方ですよ(笑)とっておきの秘話でしたね。

(弊社社員とドナさんの素敵なツーショット写真が手元にありますが、公開は差し控えさせていただきます!笑)

100年後もその後も続いていく夢へ

K 先ほどのお話で、すごく歴史があるオーク材ってことだったんですけど、例えば今の時代の人が未来を想像して取り組むというのはちょっとわかる気がするんですが、1700年台に生きていた人が、未来を想像してそういう森を管理してきたというのは、本当にすごいことですね。

O そうですね。本当にそのハプスブルク家の想像力というか、尊敬しますね。それと比較するわけではないですが、日本は、広葉樹をどんどん抜いて、戦後成長の早い杉檜に置き換えていったんですね。それで、杉とかはあまり根がはらないので、土地が痩せてしまったり、花粉症が国民病のようになってしまったりして。オークは100年、杉は30〜40年くらいなので、早くたくさん使えるというので、杉に置き換えていく政府の戦略だったとは思うんですけどね。

K 確かに、日本といえば杉ってイメージありますね。

O そんな日本で、いつか今度はオークに植え替えて、オークの細道を作りたい、というのが僕の夢ですね。愛知の設楽の里から、長野県のウッドパークまでの道で、山を買って、オークの細道を作りたい。100年後の成長した姿はもちろん見れないですけどね。100年後もその後も、その先に生きる子供たちの資産にもなると思うので、どこまでできるかはわかりませんが、少しづつ変えて行けたらいいなと思いますね。

K 日本でオークの森、いつかできたら素敵ですね。

ドナオークの森に思いを馳せる小川さん。100年以上先の未来を見据えた大きな夢です。

これからのドナオーク

K ドナオークって、あんまり着色の展開をしていないんですね。ニューオークのような色の展開がないというか、クリアが多いですよね。

O そうですね、それは林社長にもね、言われたんですけど。コストの問題とか色んな問題はありますが、ドナオークは木味がやっぱり強みだと思うので、今はあまり考えてないですね。

K 私もドナオークの素材感とても素敵だと思います!見ていて綺麗ですし、硬さと温かみのバランスがとてもいい商品だなと。ドナオークの中でも、特にこれがおすすめ!みたいな商品ってありますか?

O ドナオークは今はなんといっても90幅の乱尺ですね!材料がたくさんあります!

K 在庫的なおすすめですか?(笑)

O いやいや(笑)確かに世の中的にも幅広が好まれている昨今ですが、90幅も空間によってはとってもかっこよく仕上がるんですよ。それに今何でもかんでも値上げ・材料が高騰している時代ですから、材料が豊富で安定した価格で質の良いものが買える、というのはとても大事なことだと思いますね。それから、ドナオークの強みは、良質な幅広ができる、という点でもあります。やっぱり80-100年の真っ直ぐな木なので、白太のあまりない、綺麗で質の良い幅広の材ができる。これは他のミズナラとかではなかなか難しいところですね。つまり、全てがおすすめということです!(笑)

K (笑)ありがとうございます。今後の展望としてはどうでしょうか?

O 今後はそうですね、やっぱり1769年から続いてきているオーク材というコンセプトに合うような展開をして行けたらいいなと思いますね。SDGsとも合致するところがあると思いますし。そしてそういうのを、先ほども話した話でもありますが、日本でもやれるようになりたいですね。日本の広葉樹、今からやっても100年後とかになりますが、やっていきたいですね。

−−−100年後のプレイリーホームズに、「国産材ドナオーク」がラインナップされるのが楽しみですね!次回のインタビューでまたお会いしましょう!

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